景気は循環する

経済活動は、常に同じ速度で成長するわけではありません。一般的に、景気は次のような局面を繰り返します。

  1. 回復

  2. 拡張

  3. 後退

  4. 低迷

景気が回復すると、商品の販売や企業収益が増え、設備投資や雇用が拡大しやすくなります。所得が増えれば消費が増え、さらに企業の売上げが増えるという好循環が生まれることがあります。

一方、需要が減少すると、企業は生産や設備投資を抑え、雇用や賃金も弱くなる可能性があります。その結果、家計の消費が減り、景気の後退が深まることがあります。

ただし、すべての業種や地域が同時に同じ方向へ動くわけではありません。景気が拡大している時期でも、業績が悪化する企業や、生活が苦しくなる家計は存在します。

景気動向指数

内閣府が公表する景気動向指数では、採用される経済指標を、景気に対して動く時期の違いによって、先行系列・一致系列・遅行系列の3つに分類しています。

先行系列

景気の動きに先立って変化する指標です。 今後、景気が良くなるのか、悪くなるのかを予測する手がかりとして使われます。代表的な指標には、新規求人数、新設住宅着工床面積、株価などがあります。 つまり、先行系列は「これからの景気を見る指標」です。

一致系列

現在の景気とほぼ同じタイミングで変化する指標です。 生産、販売、企業利益、有効求人倍率など、現在の経済活動を反映しやすい指標が含まれます。 つまり、一致系列は「いまの景気を見る指標」です。

遅行系列

景気の変化から遅れて動く指標です。 完全失業率、給与、物価、法人税収入などが該当し、景気の変化が実際に起きたことを事後的に確認するために使われます。 つまり、遅行系列は「景気の変化をあとから確認する指標」です。

覚え方は、先行系列は「これから」、一致系列は「いま」、遅行系列は「あとから確認」と覚えると整理しやすくなります。

景気動向指数には、CI(コンポジット・インデックス)とDI(ディフュージョン・インデックス)の2種類があります。従来はDIが中心に利用されていましたが、現在はCIを中心に発表されています。

  • CI(コンポジット・インデックス):景気変動のテンポや大きさを把握するための指標。一致指数が上昇している場合は景気の拡張局面、低下している場合は景気の後退局面と判断する

  • DI(ディフュージョン・インデックス):景気の動きが各経済部門にどの程度広がっているかを示す指標。一致指数が50%を上回っている場合は景気の拡張局面、50%を下回っている場合は景気の後退局面と判断する。なお、景気の転換点を判断する際には、ヒストリカルDIが用いられる

先行指数が上昇したからといって、将来の景気回復が保証されるわけではありません。経済指標は、未来を正確に当てるためのものではなく、景気の方向や広がりを判断する材料です。

日銀短観

日銀短観は、日本銀行が企業を対象に実施する調査です。正式名称は「全国企業短期経済観測調査」といい、企業の業況判断、設備投資計画、雇用、価格判断などを把握できます。

代表的な指標が業況判断DIです。

業況判断DI =「良い」と回答した企業の割合 −「悪い」と回答した企業の割合

例えば、「良い」が30%、「悪い」が20%なら、業況判断DIはプラス10となります。

DIがプラスだからといって、すべての企業の業況が良いわけではありません。また、数値そのものだけでなく、前回から改善したのか悪化したのか、先行きについて企業がどう考えているのかも重要です。

製造業と非製造業、大企業と中小企業では景況感が異なることがあるため、日銀短観は区分ごとに確認します。