5.物価と私たちの暮らし
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物価とは何か
物価とは、さまざまな商品やサービスの価格を総合的に捉えたものです。
一つの商品の価格が上がっただけでは、経済全体の物価が上昇したとは限りません。多くの商品やサービスの価格が継続的に上昇する状態をインフレーション、継続的に下落する状態をデフレーションといいます。
消費者物価指数と企業物価指数
代表的な物価指標には、次のようなものがあります。
消費者物価指数(CPI) — 家計が購入する商品やサービスを対象とし、消費者が直面する価格の変化を示す
企業物価指数(CGPI) — 企業間で取引される商品(財)を対象とし、企業段階における商品の価格変化を示す。日本銀行が作成・公表している
※海外では、企業や生産者段階の物価指数をPPI(Producer Price Index:生産者物価指数)と呼ぶことが多い。ただし、日本銀行が公表する企業物価指数の正式な略称はCGPI(Corporate Goods Price Index)であり、PPIではない。なお、企業間で取引されるサービスについては、別に企業向けサービス価格指数がある
GDPデフレーター — 国内で生産されたモノやサービスを対象とし、国内経済全体の物価変動を読み取れる
消費者物価指数には、すべての商品・サービスを含む総合指数のほか、価格変動の大きい品目を除いた指数があります。
日本の報道や経済解説では、一般に次のように呼ばれています。
コアCPI — 「生鮮食品を除く総合指数」のこと。野菜、果物、魚介類などの生鮮食品は、天候や漁獲量などによって価格が大きく変動しやすいため、これらを除いて物価動向を確認する
コアコアCPI — 「生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数」のこと。生鮮食品に加え、原油価格や為替、政府の補助金などの影響を受けやすい電気代、ガス代、ガソリンなども除くため、より基調的な物価の動きを確認する際に利用される
総務省統計局は、「総合」「生鮮食品を除く総合」「生鮮食品およびエネルギーを除く総合」の各指数を公表しています。これらを併せて見ることで、家計が実際に直面する物価上昇と、一時的な変動要因を除いた物価の基調を区別しやすくなります。
なお、「コアCPI」「コアコアCPI」は、報道などで使われる通称であり、総務省統計局の正式な指数名ではありません。また、海外では「コアCPI」が「食料品とエネルギーを除く指数」を意味することが多いため、資料を読む際には、何を除いた指数なのかを確認する必要があります。
日本銀行も、物価の基調を判断する際には、これらの指数だけでなく、刈込平均値や加重中央値など複数の指標を用いています。
物価が上昇する理由
物価上昇の背景は、大きく次のように分けられます。
ディマンド・プル型インフレ:需要の増加による物価上昇
所得の増加や景気拡大によって、商品やサービスに対する需要が供給を上回ると、企業は価格を引き上げやすくなります。このように、需要側の要因によって物価が上昇する現象を、ディマンド・プル型インフレといいます。
コスト・プッシュ型インフレ:費用の増加による物価上昇
原材料価格、人件費、エネルギー価格、輸送費など、企業が商品やサービスを生産するために必要な費用が上昇すると、企業はその増加分の一部を販売価格へ転嫁することがあります。円安による輸入価格の上昇も、この要因になります。このように、供給側の要因によって物価が上昇する現象を、コスト・プッシュ型インフレといいます。
同じ物価上昇でも、ディマンド・プル型インフレのように需要の拡大によるものか、コスト・プッシュ型インフレのように費用の増加によるものかによって、企業収益や家計への影響は異なります。
名目値と実質値
賃金が3%増えても、物価が4%上昇すれば、購入できる商品やサービスの量は実質的に減る可能性があります。
名目値とは、実際の金額で表した値です。実質値とは、物価変動の影響を調整した値です。
おおまかな関係は、次のように表せます。
実質的な増減率 ≒ 名目上の増減率 − 物価上昇率
所得、金利、GDPなどを見るときは、名目と実質を区別することが重要です。