はじめに

損失の原因によって関係する制度は異なる

金融に関する損失には、さまざまな原因があります。

  • 銀行や証券会社が経営破綻した

  • 株式や投資信託の価格が下落した

  • 商品のリスクについて十分な説明を受けなかった

  • フィッシングによって預金を不正送金された

  • SNSで勧誘され、詐欺業者へ送金した

これらは、同じ「お金を失った」という結果でも、関係する制度や最初に取るべき行動が異なります。

銀行などの破綻には預金保険制度、証券会社が顧客資産を返還できない場合には分別管理や投資者保護基金が関係します。

不当な勧誘や説明不足には、消費者契約法、金融サービス提供法、金融商品取引法などが関係します。金融機関とのトラブルについては金融ADR、詐欺や不正送金が疑われる場合は金融機関、警察、消費生活センターなどへの連絡が必要です。

制度で守られる範囲を確認する

金融の安全網を理解するうえで大切なのは、「制度があるから安心」と考えることではありません。

例えば、株式や投資信託の価格下落は、原則として投資者自身が負う価格変動リスクです。預金保険制度や投資者保護基金によって補償されるものではありません。

保護制度は、あらゆる損失を補償する万能な仕組みではありません。どの制度が、どのような場面で、何を、どこまで守るのかを区別することが、この講座の目的です。