成行注文と指値注文では優先するものが異なる

株式の基本的な注文方法には、成行注文と指値注文があります。

成行注文は、売買価格を指定せず、取引の成立を優先する注文です。買いの成行注文では、その時点で最も低い売り注文から順に取引します。売りの成行注文では、最も高い買い注文から順に取引します。

成行注文は成立しやすい一方、注文が少ない銘柄や相場が急変している場面では、想定と大きく異なる価格で成立する可能性があります。

指値注文は、売買価格の条件を指定する注文です。

  • 買い注文では「指定価格以下なら買う」

  • 売り注文では「指定価格以上なら売る」

指値注文では価格条件を設定できますが、その価格に届かなければ取引は成立しません。一部の数量だけが成立することもあります。

成行注文と指値注文は、どちらが常に有利というものではありません。成立の可能性と価格条件のどちらを重視するかが異なります。

価格優先と時間優先で注文順位が決まる

証券取引所では、多数の注文を処理するために、原則として「価格優先」と「時間優先」のルールを使用します。

価格優先の原則では、次の注文が優先されます。

  • 売り注文では、より低い価格の注文

  • 買い注文では、より高い価格の注文

  • 成行注文と指値注文では、原則として成行注文

同じ価格の指値注文が複数ある場合は、原則として、先に出された注文が優先されます。これが時間優先の原則です。

ただし、取引開始時や終了時などには、複数の注文をまとめて価格を決める「板寄せ方式」が使われます。通常の取引時間中は、条件が合致した注文から連続して売買を成立させる「ザラバ方式」が基本です。

詳しい注文ルールは、日本取引所グループ「売買成立の方法」で確認できます。

売買単位と必要資金を確認する

2026年7月現在、国内の取引所に上場する内国株式は、原則として100株単位で売買します。

例えば、株価が2,000円の株式を通常の売買単位で購入する場合、手数料を除く必要資金は次のようになります。

2,000円×100株=20万円

証券会社によっては、100株未満の「単元未満株」を購入できるサービスや、金額を指定して株式を購入するサービスを提供しています。

ただし、こうしたサービスには、通常の取引所取引と異なる条件が設定されることがあります。

  • 注文できる時間や価格

  • 売買が成立するタイミング

  • 売買手数料や価格差

  • 議決権の有無

  • 配当や株主優待の取扱い

  • 他社への株式移管の可否

「少額で購入できること」と「通常の株式取引と同じ条件であること」は同じではありません。利用前にサービスの取引条件を確認します。

約定と決済は同じ日ではない

注文が成立することを「約定」といいます。約定すると、売買価格と数量が確定します。

その後、買い手から売り手へ代金を渡し、売り手から買い手へ株式を移転する手続きを「決済」または「受渡し」といいます。

2026年7月現在、国内株式の普通取引は、原則として約定日から起算して3営業日目、つまり約定日の2営業日後に決済されます。これを「T+2」と表します。

例えば、休日のない月曜日に約定した場合、原則として水曜日が決済日です。休日を挟む場合は、その日数が後ろへずれます。最新の決済制度は、日本取引所グループ「売買の種類」で確認できます。

注文前には、次の事項を確認することが大切です。

  • 銘柄コードと企業名

  • 買い注文か売り注文か

  • 注文数量

  • 成行か指値か

  • 指値の場合の価格

  • 注文の有効期限

  • 手数料などの取引費用

  • 決済に必要な資金

  • 注文の訂正・取消条件

積立投資も価格変動リスクを伴う

一定の金額や数量を定期的に購入する方法を、一般に積立投資といいます。

毎回同じ金額を投資すると、株価が高いときには少ない数量を、株価が低いときには多い数量を購入することになります。この方法は「ドル・コスト平均法」と呼ばれます。

ただし、ドル・コスト平均法によって、利益や元本が保証されるわけではありません。購入後に株価が下落し続ければ損失が生じます。また、一つの企業の株式だけを積み立てる場合、その企業固有のリスクが集中します。

積立は購入時期を分ける方法であり、企業や資産を分散することとは区別して考える必要があります。

信用取引では預けた保証金を超える損失もあり得る

信用取引は、証券会社に「委託保証金」を差し入れ、資金や株式を借りて行う取引です。資金を借りて株式を購入する「信用買い」と、株式を借りて売却する「信用売り」があります。

2026年7月現在、委託保証金は原則として約定金額の30%以上で、信用取引では最低30万円とされています。証券会社がこれより厳しい条件を設ける場合や、銘柄・商品によって保証金率が引き上げられる場合もあります。

信用取引には、次のような固有のリスクと費用があります。

  • 保証金の約3倍まで取引できるため、損益が大きくなりやすい

  • 損失が差し入れた保証金を超える場合がある

  • 保証金が不足すると、追加保証金を求められることがある

  • 信用買いでは、借りた資金に対する金利がかかる

  • 信用売りでは、貸株料や品貸料が生じる場合がある

  • 期限までに反対売買などで返済する必要がある

  • 相場状況によって保証金率の引上げなどの規制が行われることがある

信用取引には「制度信用取引」と「一般信用取引」があります。制度信用取引は取引所が対象銘柄などを定め、返済期限は最長6か月です。一般信用取引では、返済期限や費用などを証券会社と顧客との契約で定めます。

現物取引と信用取引は、単に必要資金が違うだけではありません。損失範囲、期限、費用、権利の扱いが異なります。制度の詳細は、日本取引所グループ「信用取引制度の概要」で確認してください。