販売・運用・資産管理の役割を区別する

一般的な契約型投資信託には、販売会社、運用会社、信託銀行などが関係します。

販売会社は、投資家と投資信託をつなぐ窓口です。主に次の業務を行います。

  • 投資信託の募集・販売

  • 投資家の口座管理

  • 購入・換金の申込み受付

  • 分配金や償還金の支払い

  • 目論見書や運用報告書の交付

販売会社には、証券会社や銀行などがあります。同じ投資信託でも、販売会社によって購入時手数料や取扱サービスが異なる場合があります。

運用会社は、投資信託を設定し、運用方針に従って投資判断を行います。経済や市場を分析し、どの資産を売買するかを決めて信託銀行へ指図します。

信託銀行は、投資家から集めた資産である「信託財産」を保管・管理します。運用会社の指図に基づいて、株式や債券などの売買や資金の受渡しを行います。

投資信託の基本的な流れは、次のとおりです。

  1. 投資家が販売会社を通じて購入を申し込む

  2. 多数の投資家から集めた資金を信託財産としてまとめる

  3. 運用会社が投資対象や売買を判断する

  4. 信託銀行が指図に基づいて売買や資産管理を行う

  5. 運用成果が基準価額や分配金に反映される

各機関の詳しい役割は、投資信託協会「投資信託の仕組み」で確認できます。

信託財産は各機関の自社財産と分けて管理される

信託銀行は、投資信託の信託財産を自社の財産と分けて管理します。これを「分別管理」といいます。

運用会社は運用を指図しますが、原則として信託財産そのものを保管しません。そのため、運用会社が破綻しても、信託財産が運用会社の債務返済へ直接使われる仕組みではありません。別の運用会社へ引き継がれるか、繰上償還されることなどが考えられます。

販売会社が破綻した場合も、投資信託の受益権は電子的な帳簿に記録されています。必要な手続きを経て、別の販売会社へ移管される場合があります。

ただし、次の損失まで防げるわけではありません。

  • 組入資産の値下がり

  • 債券の発行体などの債務不履行

  • 為替相場の変動

  • 市場で売却しにくくなること

  • 繰上償還によって予定より早く運用が終了すること

分別管理の意味と限界は、投資信託協会「投資信託の安全性」でも確認できます。

基準価額は投資信託の1口当たりの価値を表す

投資信託が保有する株式、債券、現金などを時価で評価した資産総額から、未払費用などの負債を差し引いたものを「純資産総額」といいます。

純資産総額=資産総額-負債総額

純資産総額を受益権の総口数で割ったものが、1口当たりの価値です。実際には、1万口当たりなどの計算単位で「基準価額」が表示されることが一般的です。

基準価額=純資産総額÷受益権総口数×表示する口数

例えば、純資産総額が100億円、総口数が100億口で、1万口当たりの基準価額を表示する場合は、次のようになります。

100億円÷100億口×1万口=1万円

これは仕組みを理解するための単純化した例です。実際の基準価額には、組入資産の評価額、為替換算、費用、分配などが反映されます。

通常の公募投資信託では、申込みを受け付けた後に算出される基準価額で取引することがあります。申込時点では適用される基準価額が分からない方式を「ブラインド方式」といいます。

ETFやJ-REITのように取引時間中の市場価格を確認して注文する商品とは、価格の決まり方が異なります。

分類名から投資範囲と商品性を確認する

投資信託には、複数の分類方法があります。分類名を暗記するだけでなく、どのような商品性の違いを示すかを理解します。

  • 公募投資信託と私募投資信託
    公募投資信託は、多数の投資家を対象に募集します。私募投資信託は、機関投資家などの限られた投資家を対象とします。

  • 契約型投資信託と会社型投資信託
    契約型は、運用会社と信託銀行が信託契約を結ぶ形式です。日本の一般的な公募投資信託の多くが該当します。会社型は、投資を目的とする法人を設立する形式で、J-REITの投資法人が代表例です。

  • 単位型投資信託と追加型投資信託
    単位型は、原則として当初の募集期間に集めた資金で運用します。追加型は、運用開始後も購入できる投資信託です。

  • 株式投資信託と公社債投資信託
    約款上、株式を組み入れられるものが株式投資信託です。実際には株式を保有していなくても、約款上組入れが可能なら株式投資信託に分類されます。公社債投資信託は、原則として株式を組み入れず、公社債を中心に運用します。

分類名だけでは、現在の組入資産やリスクの大きさまで判断できません。実際の投資対象は、最新の目論見書や運用報告書で確認します。