交付目論見書は購入前の中心資料になる

投資信託説明書である「交付目論見書」は、投資判断に必要な重要事項をまとめた書類です。公募投資信託を購入する前に、投資家へ交付されます。

交付目論見書は、次の順番で読むと商品性を整理しやすくなります。

  1. ファンドの目的と特色

  2. 主な投資対象

  3. 運用方法

  4. 投資リスク

  5. 運用実績

  6. 購入・換金の手続き

  7. 手数料や税金

  8. 分配方針と信託期間

最初に確認するのは、過去の運用成績ではなく「何に投資するか」です。国内株式、外国債券、不動産、商品、他の投資信託など、投資対象によって主な値動きの要因が変わります。

次に、価格変動の要因を整理します。

  • 株価変動リスク

  • 金利変動リスク

  • 信用リスク

  • 為替変動リスク

  • 不動産価格変動リスク

  • 流動性リスク

  • 特定の国や地域に関するリスク

目論見書の基本的な構成は、投資信託協会「投資信託説明書(交付目論見書)」で確認できます。

投資対象の重なりまで確認する

一つの投資信託に多数の銘柄が組み入れられていても、それだけで十分に分散されているとは限りません。

例えば、複数の企業へ投資していても、すべてが同じ国の同じ業種であれば、共通の要因で同時に値下がりする可能性があります。異なる名称の投資信託を複数保有していても、同じ指数へ連動していれば、投資対象が大きく重複することがあります。

分散の状態を確認するときは、次の観点を使います。

  • 資産の種類

  • 国や地域

  • 業種

  • 通貨

  • 発行体

  • 銘柄ごとの組入比率

  • 上位銘柄への集中度

  • 投資時期

「銘柄数が多いこと」と「異なるリスク要因へ分散されていること」は同じではありません。

運用報告書で実際の運用を確認する

投資信託を購入した後は、「交付運用報告書」などで実際の運用状況を確認します。

交付運用報告書では、主に次の情報を確認できます。

  • 基準価額と純資産総額の推移

  • 基準価額が変動した主な理由

  • 組入資産の内容

  • ベンチマークとの差

  • 分配金の状況

  • 1万口当たりの費用明細

  • 今後の運用方針

  • 約款や運用体制などの変更

運用報告書を読む目的は、短期間の順位だけで商品を評価することではありません。購入時に理解した運用方針と、実際の運用が大きくずれていないかを確認することです。

例えば、国内外へ広く分散する商品として購入したのに、特定の国や業種への集中が高まっている場合は、その理由を確認します。

交付運用報告書の内容は、投資信託協会「運用報告書」で確認できます。

費用は発生する時期と負担方法で分ける

投資信託の費用は、購入時、保有中、換金時に分けて確認します。

購入時にかかる費用には、購入時手数料があります。販売会社へ直接支払う費用で、同じ投資信託でも販売会社によって異なる場合があります。購入時手数料がかからない投資信託は「ノーロード」と呼ばれます。

保有中にかかる費用には、次のようなものがあります。

  • 運用管理費用である信託報酬

  • 監査費用

  • 組入資産の売買委託手数料

  • 海外での資産保管費用

  • 投資先ファンドの費用

信託報酬は、信託財産から日々差し引かれます。投資家が別途現金で支払う形ではないため、負担を意識しにくい点に注意が必要です。

例えば、保有額が1年間を通じて100万円で、信託報酬が年0.5%だったと単純化すると、年間負担はおおむね5,000円です。

100万円×0.5%=5,000円

実際の費用は、日々変動する純資産額などをもとに計算されるため、この例と一致するとは限りません。

換金時にかかる可能性があるものには、信託財産留保額があります。これは販売会社や運用会社が手数料として受け取るものではなく、換金に伴う資産売却費用などを、残る受益者だけに負担させないため、信託財産に留保する金額です。

すべての投資信託に同じ費用がかかるわけではありません。費用の有無と料率は、目論見書で確認します。