資金を使う時期によって役割を分ける

資産配分を考える前に、資金を何のために、いつ使うのかを整理します。商品から選び始めると、必要な時期に価格が下落していても、生活のために売却せざるを得ない状況になりかねません。

資金は、例えば次の三つに分けて考えられます。

日常生活や緊急時に必要な資金

生活費、急な医療費、収入減少への備えなど、すぐに使える状態が求められる資金です。値動きの小ささだけでなく、引き出しやすさや決済のしやすさが重要になります。

数年以内に使う予定の資金

住宅購入、教育費、車の購入など、使う時期と金額が比較的明確な資金です。必要な時期までに価格が回復しない可能性を考え、使う時期が近づくにつれて値動きや換金条件を確認します。

長期の目的に充てる資金

老後資金など、使用時期まで比較的長い期間がある資金です。短期的な価格変動だけで判断せず、運用期間、物価上昇、費用などを含めて考えます。ただし、長期であれば損失が必ず解消されるわけではありません。

この分類に決まった年数や割合があるわけではありません。家計や予定に合わせて整理するための考え方です。

リスク許容度は三つの側面から考える

リスク許容度とは、資産価格の変動や損失をどの程度受け入れられるかを表す考え方です。単なる性格診断ではなく、家計上の対応力も含めて判断します。

確認する側面は、大きく三つあります。

家計として損失に耐えられるか

収入の安定性、生活費、負債、扶養する家族、緊急時の資金、他の資産などを確認します。価格が下落したときに、生活費のために売却しなければならない構成は、家計の対応力を超えている可能性があります。

心理的に値動きを受け入れられるか

価格が下落したときに、不安から計画と異なる売買をしてしまわないかを考えます。家計上は耐えられる損失でも、心理的な負担が大きければ、継続が難しくなることがあります。

目的達成のためにどの程度の収益が必要か

目標金額、運用期間、積立可能額を整理します。高い目標収益率を置かなければ達成できない計画であれば、投資リスクを増やす前に、目標額、期間、積立額、支出計画を見直す選択肢もあります。

「取れるリスク」「取りたいリスク」「取る必要があるリスク」は、必ずしも一致しません。三つを分けて考えることが重要です。

資産配分は目的から逆算する

資産配分を考える基本的な順番は次のとおりです。

  1. 保有資産、負債、収入、支出を把握する

  2. 資金の目的、必要額、使用時期を整理する

  3. すぐに使える資金を確保する

  4. 許容できる損失額や値動きを考える

  5. 資産の種類ごとの特徴を比較する

  6. 資産配分を仮に設定する

  7. 費用、税金、換金条件を確認する

  8. 定期的に目的との整合性を見直す

短期的に値上がりしている資産から配分を決めるのではなく、家計と目的から逆算します。

また、同じ資産配分でも、為替ヘッジの有無、保有商品の費用、投資対象の範囲などによって実際の値動きは異なります。資産分類を決めた後も、商品内容の確認が必要です。

長期運用にも途中の変化がある

運用期間が長ければ、一時的な価格下落から回復を待てる可能性は高くなります。しかし、長期運用には将来の不確実性もあります。

途中で起こり得る変化には、次のようなものがあります。

  • 転職や退職による収入の変化

  • 結婚、出産、介護など家族構成の変化

  • 住宅購入や教育費など支出予定の変化

  • 病気や災害などによる緊急支出

  • 物価や金利の変化

  • 税制や社会保障制度の変更

長期という理由だけで、すべての資金を値動きの大きい資産へ配分することは適切とは限りません。長期の目的を持つ資金であっても、途中で必要になる可能性や、目的に近づいたときの取り崩し方を考えておきます。