標準偏差は値動きの大きさを測る

標準偏差は、一定期間の収益率が平均収益率の周りでどの程度ばらついたかを示す指標です。資産運用では、標準偏差が大きいほどリターンのぶれが大きく、リスクが高いと考えます。

例えば、平均収益率が同じ0%であっても、毎期の収益率がマイナス5%からプラス5%程度で推移した資産と、マイナス20%からプラス20%程度で推移した資産では、後者の方が標準偏差は大きくなります。

収益率が正規分布に従うと仮定した場合、実際の収益率は平均収益率を中心として、おおむね次の範囲に収まると考えます。

  • 平均収益率のプラス・マイナス1標準偏差:およそ68%

  • 平均収益率のプラス・マイナス2標準偏差:およそ95%

ただし、実際の金融市場では正規分布の仮定を超える大きな変動も発生します。標準偏差は損失の上限を示す数字ではありません。考え方の詳細は、年金積立金管理運用独立行政法人「分散投資の意義②」で確認できます。

標準偏差を比較するときは、計算期間、通貨、分配金の扱いなどの条件をそろえます。異なる条件で計算された数字を単純に比較しても、適切な判断にはつながりません。

シャープレシオはリスクに対する収益を見る

シャープレシオは、取ったリスクに対して、無リスク資産の収益率をどの程度上回る収益が得られたかを見る指標です。

基本的な計算式は次のとおりです。

シャープレシオ=(ポートフォリオの収益率-無リスク資産の収益率)÷ポートフォリオの標準偏差

無リスク資産の収益率には、比較の基準となる短期金利などが用いられます。

例えば、次の二つを同じ期間、同じ条件で比較するとします。

  • 資産A:収益率5%、標準偏差10%

  • 資産B:収益率7%、標準偏差20%

  • 無リスク資産の収益率:1%

資産Aのシャープレシオは0.4です。

(5%-1%)÷10%=0.4

資産Bのシャープレシオは0.3です。

(7%-1%)÷20%=0.3

収益率だけを見ると資産Bの方が高いものの、取ったリスクに対する超過収益では、資産Aの方が高いという結果になります。

ただし、シャープレシオは過去のデータと計算上の前提に基づく指標です。将来の成果を保証するものではありません。比較期間や資産分類が異なる商品を、数字だけで順位付けしないようにします。

ベンチマークは運用成果の比較基準である

ベンチマークとは、運用成果を評価するための比較基準です。国内株式を対象とする商品であれば、国内株式市場の動きを表す指数などがベンチマークとして使われます。

運用成果を見るときは、単に利益が出たかどうかだけでなく、同じ市場がどのように動いたかを確認します。市場全体が大きく上昇した期間に利益が出ていても、ベンチマークを大幅に下回っている場合があります。反対に、損失が生じていても、ベンチマークより下落が小さい場合もあります。

ベンチマークを確認するときは、次の点に注意します。

  • 商品の投資対象とベンチマークが対応しているか

  • 配当や利息を含む指数か

  • 円換算か外貨建てか

  • 為替ヘッジの条件が同じか

  • 手数料控除前か控除後か

  • 比較期間が同じか

ベンチマークを上回ったという過去の実績だけで、将来も上回ると判断することはできません。

効率的な組み合わせも前提によって変わる

ポートフォリオ理論では、同じ期待収益率ならリスクがより小さく、同じリスクなら期待収益率がより高い組み合わせを効率的なポートフォリオと考えます。複数の効率的な組み合わせを線で結んだものを効率的フロンティアといいます。

これは、期待収益率、標準偏差、相関係数などを用いて、資産の組み合わせを比較するための理論です。ただし、計算に使用する数値は推計であり、将来の市場環境によって変わります。

理論上効率的とされた組み合わせであっても、次のような家計上の条件を直接反映しているとは限りません。

  • 資金を使う具体的な時期

  • 途中で必要になる生活資金

  • 税金や取引費用

  • 売却のしやすさ

  • 本人が許容できる損失

  • 法律や口座制度による制約

指標は判断を助ける道具ですが、家計にとっての結論そのものではありません。