税引後の収益は費用と税金を分けて計算する

金融商品を比較するときは、税引前の収益から費用と税金を分けて考えます。

基本的な関係は次のとおりです。

税引後収益=税引前収益-手数料などの費用-税金

例えば、税引前の預金金利が年1%で、20.315%の源泉分離課税が適用されるとします。手数料や複利、端数処理を考慮しない単純な税引後金利は、約0.79685%です。

1%×(1-20.315%)=約0.79685%

一方、上場株式や投資信託では、毎年一定の利益が得られるとは限りません。値上がり益、配当、分配金、売却損、費用などを合わせて計算する必要があります。

NISA口座で10万円の譲渡益が生じた場合、国内の所得税・住民税は原則として非課税です。課税口座で同額の譲渡益が生じ、20.315%の税率が適用される場合、単純計算による税引後利益は7万9,685円です。

ただし、NISA口座には対象商品や投資枠の制限があり、損失を損益通算できません。税引後利益の一例だけで、口座や商品を決めないことが大切です。

税制より先に目的と商品性を確認する

税制上の優遇があっても、目的に合わない商品を選べば、必要な時期に損失が生じたり、換金できなかったりする可能性があります。

比較する順番は次のようにすると整理しやすくなります。

  1. 資金の目的と使う時期を決める

  2. 許容できる価格変動や損失を考える

  3. 商品の仕組み、リスク、費用を確認する

  4. 課税口座とNISA口座などの条件を比較する

  5. 税引後の受取額を試算する

  6. 申告や記録の負担を確認する

「非課税だから買う」「損益通算のために売る」といったように、税金だけを目的に取引すると、手数料や価格変動による損失が税効果を上回ることがあります。

年間の取引記録を口座ごとに整理する

年末から確定申告期に慌てないためには、年間の取引を口座ごとに整理しておきます。

確認する項目には、次のものがあります。

  • 金融機関名と口座の種類

  • 一般口座、特定口座、NISA口座の区分

  • 利子、配当、分配金の受取記録

  • 売却した商品の取得価額と譲渡価額

  • 売買手数料や為替手数料

  • 年間の譲渡益と譲渡損失

  • 前年以前から繰り越した損失

  • 外国で源泉徴収された税金

  • NISA口座での買付額と売却額

  • 参照した公式資料と確認日

口座番号や暗証番号などを学習サイトや他人と共有する必要はありません。取引記録は本人が安全な場所で管理します。

電子交付された報告書は、金融機関のサービスを解約した後や保管期間の経過後に閲覧できなくなることがあります。必要な書類は適切に保存しておきます。

分からない点は所得区分から確認する

税務上の取扱いが分からないときは、「税率は何%か」だけを調べるのではなく、次の順番で確認します。

  1. どの商品から生じた損益か

  2. 利子、配当、譲渡、雑所得など、どの所得区分に当たるか

  3. 総合課税、申告分離課税、源泉分離課税のどれか

  4. 確定申告不要制度を利用できるか

  5. 他の利益や損失と通算できるか

  6. 必要な申告書や添付書類は何か

国税庁のタックスアンサーや確定申告書等作成コーナーでは、所得の種類ごとに取扱いを確認できます。金融機関は取引報告書や商品情報について確認する窓口になりますが、個別の税務判断を行えない場合があります。

相続・贈与、海外資産、複数年にわたる損失、事業として行う取引などは、個別事情によって結論が変わりやすい分野です。必要に応じて税務署や税理士へ相談してください。