GDPは国内で生み出された付加価値の合計

GDPは「Gross Domestic Product」の略で、日本語では「国内総生産」といいます。一定期間内に、一国の国内で新たに生み出された財・サービスの付加価値を合計したものです。

GDPは通常、四半期または1年という一定の期間を対象に計算されます。ある時点で保有している資産の残高ではなく、一定期間に行われた生産活動を表す指標です。

ここでいう「国内」とは、生産を行った企業や個人の国籍ではなく、生産活動が行われた場所を基準にするという意味です。

たとえば、外国企業が日本国内に設置した工場で行った生産は、日本のGDPに含まれます。一方、日本企業の海外現地法人が海外で行った生産は、日本のGDPには含まれません。

付加価値で計算する理由

付加価値とは、生産活動によって新たに加えられた価値を指します。

たとえば、パン屋が小麦粉などの原材料を100円で仕入れ、パンを300円で販売した場合、単純化すると新たに生み出された付加価値は200円です。

  • パンの販売額:300円

  • 原材料の仕入額:100円

  • 新たに生み出された付加価値:200円

原材料の100円と完成したパンの300円をそのまま合計すると、原材料の価値を二重に数えてしまいます。そのため、GDPでは原則として、それぞれの生産段階で新たに生み出された付加価値を集計します。

さらに、農家が生産した小麦を50円で製粉会社へ販売し、製粉会社が小麦粉を100円でパン屋へ販売し、パン屋がパンを300円で消費者へ販売したとします。

この場合、それぞれの付加価値は次のようになります。

  • 農家の付加価値:50円

  • 製粉会社の付加価値:100円-50円=50円

  • パン屋の付加価値:300円-100円=200円

付加価値の合計は300円となり、最終的に消費者へ販売されたパンの価格と一致します。

このように、各生産段階の付加価値を合計する方法と、最終的な財・サービスの価値を集計する方法では、理論上同じ結果になります。

GDPに含まれるもの

GDPには、民間企業が市場で販売した商品やサービスだけでなく、市場で価格が付けられていない活動の一部も含まれます。

主なものとして、次のような活動があります。

  • 民間企業が生産・販売した商品やサービス

  • 個人事業主が提供した商品やサービス

  • 国や地方公共団体が提供する行政サービス

  • 公立学校などが提供する教育サービス

  • 公的医療や介護に関するサービス

  • 防衛や警察などの公共サービス

  • 持ち家の帰属家賃

政府が提供する行政、防衛、公教育などには、通常の市場価格がありません。そのため、職員の人件費や必要な経費などを基に、その生産額が推計されます。

持ち家の帰属家賃とは、自分が所有する住宅に住んでいる人も、住宅から家賃相当のサービスを受けているとみなして計上する金額です。

実際に家賃の受け払いや現金収入があるわけではありませんが、持ち家に住む人と賃貸住宅に住む人を同じ基準で比較するために、統計上の家賃が計上されます。

GDPに含まれないもの

次のような取引は、それ自体では新たな財・サービスの生産ではないため、原則としてGDPには含まれません。

  • 株式や債券などの金融資産の売買

  • 土地そのものの売買

  • 中古住宅や中古車などの中古品の売買

  • 所得税や住民税など、財・サービスの対価ではない税金

  • 年金、生活保護、児童手当などの社会保障給付

  • 単なる贈与や仕送り

  • 家族が無償で行う家事や介護

株式や土地の価格が上昇しても、それは資産価格の変化であり、新たな生産ではありません。そのため、値上がり益そのものはGDPに含まれません。

中古品についても、その商品が最初に生産・販売された時点でGDPに計上されています。中古品の販売価格を再びGDPに含めると、同じ商品を二重に計上することになります。

ただし、株式売買の手数料、不動産の仲介手数料、中古品の販売手数料、修理費などは、新たに提供されたサービスであるためGDPに含まれます。