名目GDPは実際の価格で計算する

名目GDPは、その時点で実際に取引されている価格を使って計算したGDPです。

たとえば、100円の商品が100個生産された場合、名目GDPは1万円です。翌年も生産量は100個のままですが、価格が110円に上昇したとします。この場合、名目GDPは1万1,000円となり、10%増加します。

しかし、増加したのは価格であり、生産量ではありません。名目GDPだけでは、GDPの増加が生産量の増加によるものか、物価上昇によるものかを区別できません。

名目GDPは、経済活動をその時点の金額で表すため、次のような目的に適しています。

  • 現在の経済規模を金額で確認する

  • 税収や政府債務など、名目金額との関係を見る

  • 国民所得や企業売上などの名目値と比較する

  • GDPに対する政府債務や財政赤字の割合を計算する

実質GDPは物価変動の影響を取り除く

実質GDPは、物価変動の影響を取り除き、生産された財・サービスの量の変化を捉えたGDPです。

先ほどの例では、商品価格が100円から110円に上昇しても、生産量は100個のままです。この場合、名目GDPは10%増加しますが、実質GDPは基本的に変わりません。

反対に、商品の価格が100円のままで、生産量が100個から110個に増えた場合、名目GDPと実質GDPはともに10%増加します。

実質GDPは、次のような目的に適しています。

  • 経済活動が実質的に拡大したか確認する

  • 生産量やサービス量の変化を捉える

  • 過去と現在の経済規模を比較する

  • 実質経済成長率を計算する

一般に「経済成長率」という場合は、実質GDPの増加率を指します。

名目GDPと実質GDPの使い分け

名目GDPと実質GDPのどちらが重要かは、確認したい内容によって異なります。

物価上昇を含めた経済全体の金額を確認するときは、名目GDPを使います。物価変動を除いた生産活動の変化を確認するときは、実質GDPを使います。

たとえば、名目GDPが大きく増えていても、実質GDPがほとんど増えていなければ、GDPの増加は主として物価上昇によるものと考えられます。

反対に、名目GDPと実質GDPがともに増えていれば、生産量の増加を伴って経済規模が拡大している可能性があります。

ただし、実際の経済では、商品の種類や品質、価格、生産量が同時に変化します。名目GDPと実質GDPの関係だけで、経済の状況を完全に説明できるわけではありません。