GDP全体の物価変動を示す指標

GDPデフレーターは、名目GDPから物価変動の影響を取り除き、実質GDPを求めるために使われる物価指数です。

基本的な関係は次のとおりです。

  • GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP×100

  • 実質GDP=名目GDP÷GDPデフレーター×100

たとえば、名目GDPが110、GDPデフレーターが105であれば、実質GDPは次のようになります。

110÷105×100≒104.8

GDPデフレーターが上昇している場合、国内で生産された財・サービス全体の価格水準が上昇していることを示します。

反対に、GDPデフレーターが低下している場合は、国内で生産された財・サービス全体の価格水準が低下していることを示します。

消費者物価指数との違い

GDPデフレーターは、消費者が購入する商品やサービスだけでなく、設備投資、政府支出、輸出入など、GDPを構成する幅広い項目の価格変動を反映します。

一方、消費者物価指数は、家計が購入する一定範囲の財・サービスの価格変動を測る指標です。

両者には、次のような違いがあります。

  • GDPデフレーターは、国内で生産された財・サービスを広く対象とします。

  • 消費者物価指数は、家計が購入する財・サービスを対象とします。

  • GDPデフレーターには、設備投資や政府支出なども含まれます。

  • 消費者物価指数には、家計が購入する輸入品も含まれます。

  • GDPデフレーターでは、輸入はGDPの控除項目として扱われます。

たとえば、原油などの輸入価格が上昇すると、ガソリン代や電気料金を通じて消費者物価指数を押し上げる可能性があります。

一方、輸入価格の上昇は、GDPデフレーターには消費者物価指数と同じ形では反映されません。そのため、GDPデフレーターと消費者物価指数が異なる方向に動くこともあります。

連鎖方式と実質GDPの注意点

現在の国民経済計算では、実質GDPの計算に「連鎖方式」が採用されています。

連鎖方式では、前年を基準として各年の変化率を計算し、それを毎年つなげて長期的な実質値を作ります。

経済では、商品の構成や価格が長期的に変化します。固定された一つの基準年を長期間使い続けると、現在の経済構造を正確に反映しにくくなります。連鎖方式は、こうした問題を小さくするために使われます。

ただし、連鎖方式による実質値には「加法整合性がない」という特徴があります。

これは、実質GDPの各構成項目を単純に合計しても、実質GDP全体と一致しない場合があるということです。

したがって、実質GDPの構成項目を分析するときは、単純な金額の足し算ではなく、内閣府が公表する成長率や寄与度を利用することが基本です。