6.GDPを構成する需要項目
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国内需要と海外需要
支出面から見たGDPは、国内需要と財貨・サービスの純輸出によって構成されます。
国内需要は「内需」とも呼ばれ、国内の家計、企業、政府などによる支出を表します。国内需要は、さらに民間需要と公的需要に分けられます。
財貨・サービスの純輸出は「外需」とも呼ばれ、輸出から輸入を差し引いて計算します。
支出面から見たGDPを簡略化すると、次の式で表せます。
GDP=民間消費+民間投資+政府支出+輸出-輸入
経済学では、次のような記号で表すこともあります。
GDP=C+I+G+(X-M)
それぞれの記号は、次の項目を意味します。
C:消費
I:投資
G:政府支出
X:輸出
M:輸入
民間需要の主な項目
民間需要には、次の項目があります。
民間最終消費支出は、家計や対家計民間非営利団体による消費支出です。食料品、自動車、家電、医療、交通、通信などの財・サービスへの支出が含まれます。
持ち家の帰属家賃も、民間最終消費支出に含まれます。
民間住宅は、住宅の新築や増改築などへの投資です。住宅は長期間使用されるため、GDPでは通常の消費ではなく投資として扱われます。
土地は生産されたものではないため、土地の購入代金そのものはGDPに含まれません。ただし、建物の建設費や不動産仲介サービスなどはGDPに含まれます。
民間企業設備は、企業による建物、機械、ソフトウェア、研究開発などへの投資です。企業の将来の生産能力や生産性に関係する重要な項目です。
民間在庫変動は、企業が保有する原材料、仕掛品、完成品、流通在庫などの増減です。
在庫が増えた場合、その期に生産されたもののうち、まだ最終的に販売されていない部分がGDPに計上されます。
ただし、在庫の増加が必ずしも好ましいとは限りません。将来の販売に備えた計画的な在庫増加もあれば、商品が売れ残った結果として在庫が増える場合もあります。
公的需要の主な項目
公的需要には、次の項目があります。
政府最終消費支出は、国や地方公共団体などが提供する行政、教育、医療、介護、防衛などのサービスに関する支出です。
政府が家計へ支給する年金や各種手当は、それ自体では財・サービスの購入ではないため、政府最終消費支出には含まれません。これらは所得を移転する「移転支出」として扱われます。
ただし、給付を受けた家計が商品やサービスを購入すれば、その支出は民間最終消費支出としてGDPに反映されます。
公的固定資本形成は、道路、橋、学校、公共施設などへの公共投資です。
公的在庫変動は、政府が保有する在庫の増減を表します。
政府支出には、消費的な支出と投資的な支出があります。政府最終消費支出と公的固定資本形成を区別して理解することが大切です。
輸出と輸入
輸出は、国内で生産された財・サービスを海外へ販売することです。国内で生産された付加価値なので、日本のGDPに加算されます。
輸入は、海外で生産された財・サービスを国内で購入することです。日本国内の消費や設備投資などに含まれている輸入分を除くため、GDPの計算では控除します。
輸入を差し引くことは、輸入そのものが経済にとって一律に好ましくないという意味ではありません。
輸入品は家計の生活や企業の生産活動に必要です。輸入した原材料や部品を使って、国内で新たな付加価値が生み出されることもあります。
たとえば、海外から100円の原材料を輸入し、国内企業が加工して300円の製品として販売した場合、日本のGDPに含まれるのは、単純化すると国内で加えられた200円の付加価値です。
輸出から輸入を差し引いた金額を「財貨・サービスの純輸出」といいます。純輸出がプラスであれば輸出超過、マイナスであれば輸入超過となります。
日本のGDPの主な構成
2025年12月に公表された2024年度国民経済計算年次推計によると、2024年度のGDPは次のとおりです。
名目GDP:約642.4兆円
実質GDP:約586.9兆円
2024年度の名目GDPを主な需要項目に分けると、次のようになります。
民間最終消費支出:約340.4兆円
政府最終消費支出:約129.1兆円
民間企業設備:約119.2兆円
公的固定資本形成:約32.0兆円
民間住宅:約27.6兆円
民間最終消費支出は名目GDP全体の約53%を占めています。日本のGDPでは個人消費を中心とする民間最終消費支出が最大の構成項目です。
そのため、次のような要因は、個人消費を通じてGDPに大きな影響を与える可能性があります。
賃金や雇用の変化
物価の上昇や下落
税金や社会保険料の負担
年金などの社会保障給付
消費者の将来不安
金利や住宅ローン負担
株価や不動産価格の変化
ただし、GDPの実額や構成比は、速報、年次推計、基準改定によって変更されます。数値を利用するときは、公表時点と統計の種類を確認する必要があります。