国内を基準にするGDP

GDPは、誰が生産したかではなく、どこで生産したかを基準にします。

日本国内で行われた生産活動は、外国企業によるものであっても日本のGDPに含まれます。一方、日本企業による生産でも、海外現地法人が海外で行ったものは日本のGDPには含まれません。

このため、GDPは国内の生産活動や景気の状態を捉えるのに適した指標です。

居住者の所得を表すGNI

GNIは「Gross National Income」の略で、日本語では「国民総所得」といいます。

GDPが「どこで生産されたか」に注目するのに対し、GNIは「国内の居住者がどれだけの所得を受け取ったか」に注目します。

ここでいう居住者は、国籍だけで決まるものではありません。国民経済計算では、国内に経済活動の中心を持つ個人や企業などを居住者として扱います。

たとえば、日本企業の海外現地法人が海外で行った生産活動は、日本のGDPには含まれません。ただし、そこで生じた所得のうち日本の居住者に帰属する部分は、日本のGNIに反映されます。

反対に、外国企業の日本国内の工場が行った生産活動は、日本のGDPに含まれます。その所得の一部が海外の親会社などに支払われる場合、その部分は日本のGNIを計算するときに差し引かれます。

名目GNIの計算

名目GDPと名目GNIの基本的な関係は、次のとおりです。

名目GNI=名目GDP+海外からの第一次所得の純受取

海外からの第一次所得の純受取とは、海外から受け取った第一次所得から、海外へ支払った第一次所得を差し引いたものです。

第一次所得には、主に次のようなものがあります。

  • 海外で働いたことによる雇用者報酬

  • 海外の債券などから受け取る利子

  • 海外企業から受け取る配当

  • 海外子会社などから得られる投資収益

  • 海外へ支払う利子や配当

海外から受け取る所得が海外へ支払う所得を上回れば、GNIはGDPより大きくなります。

実質GNIと交易利得・損失

実質GNIでは、輸出価格と輸入価格の変化による購買力の変化も考慮します。

基本的な関係は次のとおりです。

実質GNI=実質GDP+交易利得・損失+海外からの第一次所得の実質純受取

交易利得・損失とは、輸出価格と輸入価格の関係が変化したことによって生じる、実質的な購買力の増減です。

たとえば、輸入価格が大幅に上昇する一方、輸出価格があまり上昇しなければ、同じ量を輸入するために、より多くの輸出や所得が必要になります。

この場合、国内の生産量を表す実質GDPが増えていても、国内の居住者が利用できる実質的な所得の購買力は伸びにくくなることがあります。

反対に、輸出価格が上昇し、輸入価格が低下すれば、同じ輸出量でより多くの輸入品を購入できるため、実質的な購買力が増加する可能性があります。

以前はGNP(国民総生産)が広く使われていましたが、現在の国民経済計算では、同様の観点を所得面から捉えるGNIが用いられています。

国内の生産活動を確認するときはGDP、国内の居住者が国内外から得た所得を確認するときはGNIが適しています。