12.GDPを利用するときの限界
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GDPだけでは生活の豊かさを測れない
GDPは経済活動の規模を捉える代表的な指標ですが、国民生活の豊かさや幸福度をすべて表すものではありません。
GDPが増加していても、その成果が一部の人や企業に集中している場合があります。GDPからは、所得や資産が国民の間でどのように分配されているかは分かりません。
また、人口が増えればGDPも増えやすくなります。国民一人当たりの経済規模を確認するときは、一人当たりGDPを使用します。
ただし、一人当たりGDPも平均値です。所得格差や家計ごとの生活状況を直接示すものではありません。
GDPに表れにくい活動
GDPには、市場で取引されない活動の多くが含まれません。
たとえば、家庭内で行われる次のような活動です。
炊事や洗濯
子育て
家族の介護
自宅の清掃
地域での無償の活動
同じ介護サービスでも、家族が無償で行えばGDPに含まれませんが、介護事業者へ料金を支払って依頼すればGDPに含まれます。
このため、GDPの増減が、そのまま社会全体で提供されるサービス量の増減を意味するとは限りません。
環境や資源の問題
企業の生産活動が増加すれば、GDPは増える可能性があります。しかし、その過程で環境汚染や天然資源の減少が発生しても、その損失がGDPから十分に差し引かれるとは限りません。
また、環境汚染を除去するための支出や、災害後の復旧工事は、新たな生産活動としてGDPを増やすことがあります。
一方、災害によって失われた住宅、工場、道路などの資産価値は、GDPからそのまま差し引かれるわけではありません。GDPは一定期間の生産活動を示す指標であり、保有資産の残高を示す指標ではないためです。
GDPと組み合わせるべき情報
経済や生活の状態を総合的に判断するには、GDPだけでなく、次のような情報も確認する必要があります。
雇用者数や失業率
賃金や可処分所得
消費者物価
所得や資産の分配
労働時間や余暇
人口や世帯構成
健康や教育
住宅や生活環境
環境負荷
家計や企業の資産・負債
GDPは重要な指標ですが、経済や生活の一つの側面を表しているにすぎません。何を知りたいのかに応じて、ほかの統計と組み合わせて利用することが大切です。